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「規模」から「多様性」の経済へ/1人当たりの生産性や所得水準向上に向けて/ダイバーシティ/人材の活躍のために企業ができること

ダイバーシティ経営への取り組みがさまざまな効果を生んでいる
ダイバーシティ経営への取り組みがさまざまな効果を生んでいる

労働人口の減少や雇用のミスマッチなどさまざまな社会問題が深刻化する中、ダイバーシティ(多様性)に対する考え方が今、企業に問われている。

人口が増えていくことを前提にした経済成長の在り方はもう通用しなくなっている。一方で、人口が減っていっても、1人当たりの生産性や所得水準を上げていき、生活をより豊かにしていく経済の在り方は実現できるはずだ。このような方向に向けて、企業ができることは、「規模の経済」一辺倒の考えを改め、「多様性の経済」を少しずつ育んでいくことだろう。

ビジネスシーンにおける多様性=ダイバーシティという言葉は、国籍、性別、年齢、価値観、障害の有無などに固執することなく多様な人材を受け入れることで、イノベーションを生み出し、企業の競争力向上につなげる理念として使われる。もともと多民族国家のアメリカで生まれた考え方で、社会的少数派の機会均等や多様な人材の競合によって企業価値を高める経営手法として広まった経緯がある。

日本では1986年に男女雇用機会均等法、99年に男女共同参画社会基本法が施行された。しかし当時はまだ女性差別をなくすという程度の考えだった。それが労働力不足や日本型雇用慣行の破綻、グローバル化の遅れ、世代間格差などの諸問題が顕在化するに連れて、認知されるようになってきた。

多様な人材の活躍に向けた取り組みを通じて、企業の価値創造につなげる経営を「ダイバーシティ経営」という。経済産業省の調査で、そのダイバーシティ経営に取り組む中堅・中小企業は、そうでない企業と比較して▽正社員全体の定着▽正社員全体の人材育成・能力開発▽正社員全体の仕事に対する意欲▽売上高▽営業利益など、すべての項目において効果的な結果が出ていることが分かった。

「多様な人材」と聞くと、イメージしやすいのは外国人や高齢者だろう。そうした表層的な例もあるが、留意したいのはキャリアや経験といった一見外からはわからない内面、深層的な意味合いを含んでいることだ。例えば5人の組織を構成する際、多様性が大切だからといって、国籍や性別がばらばらの5人を集めたところで組織に多様性が生まれるわけではない。むしろその組織が経験するのは、価値観や考え方の衝突と混乱だろう。重要なのは、さまざまな価値観や考え方の中で育ち、それぞれの側面を理解している人材を組織に受け入れる、それをマネジメントしていくことだ。つまり「多様な人材」を採用するのではなく、「多様性のある人材」を採用することが、ダイバーシティ経営の下地づくりになるのだ。

経済産業省は、ダイバーシティ経営実践のための各種支援ツールをウェブで公開している。診断シートの作成手順など内容は多岐にわたるが、つまるところ経営者の哲学や信念、企業の活動方針を明文化した、いわゆる経営理念が問われてくる。社員一人一人が”違う”からこそ、ひとつの目標に向けて社員の能力を最大限発揮させていくには自律的な行動・判断の指針としての経営理念が拠り所になる。企業を取り巻く環境が変化しても、経営理念の重要性は変わらない。

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