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自動車①/トヨタ、2026年に次世代EV投入へ/クルマづくり「ゼロから考え直す」/全固体電池、新生産技術の開発加速

トヨタ自動車は、電気自動車(EV)の開発や投資を加速している。2026年には、競争力を高めた次世代EVを投入する計画だ。大量の電気を充電できる「全固体電池」や次世代EVで採用する予定の新しい生産技術「ギガキャスト」の開発を推進している。環境車の全方位戦略を維持しながら、EV巻き返しを図っている。

全固体電池の開発現場
全固体電池の開発現場

■切り札

全固体電池は、27~28年にEVでの実用化を目指している。全固体電池は急速充電に適しており、車両の航続距離伸長にも寄与する。EV巻き返しの切り札として開発を進めている。

全固体電池の開発は、貞宝工場(豊田市)の一角で取り組んでいる。量産工法の一部である組み付け工程では、高速移動する小型のパレットを用いて、素早く電池材料を積み上げる仕組みを取り入れている。

生産担当の新郷和晃執行役員は「全固体電池の材料開発のめどは立っている。一方で量産工法の開発は、安定した品質で高効率に造るために乗り越えるべき課題は多い。開発の進捗(しんちょく)は半分程度だ」と話している。

巨大なアルミ部品を造るギガキャストの試作機
巨大なアルミ部品を造るギガキャストの試作機

また、ギガキャストは巨大なアルミ部品を造る新しい生産技術だ。次世代EVから実用化する計画。現在86部品で構成しているプラットフォーム(車台)の一部を、一つのアルミ部品にできる。生産工程などの大幅な集約につなげることが可能になる。

ギガキャストの試作機は、明知工場(みよし市)内に設置している。車両のプラットフォームに用いる巨大なアルミ部品を試作しながら、品質などを確認している。迅速に金型交換したり不良品の発生を抑え、他社の同様の設備に比べ生産性を約2割高めるのが目標だ。

自動走行する組立ラインも導入予定
自動走行する組立ラインも導入予定

■2分の1に

また、組み立て途中の車台で自動走行する次世代の組立ラインの開発にも取り組んでいる。同様に次世代EVで導入する予定だ。

組み立て中の前後の車台が等間隔を保ちながら、時速約0・3キロメートルと極めて低速で自動走行する仕組み。低速走行中に、作業担当者が乗り込み、組み立て作業などを行うことを想定している。

現在用いている搬送装置が不要となり、工場の生産レイアウトの自由度が高まる利点などがある。

次世代EVでは、生産工程や投資、生産準備を現在の2分の1に減らす目標を掲げている。生産にかかる所要時間は現在の約10時間から5時間に短縮する。「ゼロから考え直す」(新郷氏)ことで、新たな生産技術を生み出し、クルマづくりの効率を一段高めようとしている。

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