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自動車②/トヨタグループ各社/車両の電動化へ備え/製品開発や事業構造改革

トヨタ自動車をはじめ完成車メーカーが電動化への投資や開発を進める中、トヨタグループ各社も将来に向けた備えを急いでいる。デンソーやアイシンは、本格的な電動化を前に、大胆に事業構造を見直している。デンソーは、既存事業である内燃機関向け製品の事業譲渡を進め、電動化製品に投資を振り向ける。アイシンは投資余力創出と、電動化製品の拡充を両立し、電動化時代に立ち向かう。

デンソーは5月、パワー半導体の出荷を開始した
デンソーは5月、パワー半導体の出荷を開始した

■デンソー

「当社の長い歴史の中で、大規模な事業転換は経験したことがない」。6月末にデンソー社長に就任した林新之助氏は就任直後にインタビューでこう明かした。

デンソーは2022年9月に、愛三工業への燃料ポンプモジュールの移管を完了。農業や建設機械に使う発電機「Ⅲ型オルタネーター」についても、中国・成都華川電装への譲渡を決めた。

今年7月には、内燃機関車用の点火プラグと排ガスセンサー事業を日本特殊陶業に譲渡することで基本合意したと発表。電動化の流れを受けて、事業構造を大胆に見直している。

インバーターの開発も進める
インバーターの開発も進める

狙いは経営資源の再配分だ。デンソーは35年までの長期戦略で、CASE(次世代技術)分野や物流などの新規事業で、売上高を現在に比べ倍増させる目標を掲げている。インバーターやヒートポンプ、電池電流センサーなど、EVに搭載される部品も多いほか、自動運転などに向けたシステム開発などにも強みを持つ。今年5月には、台湾の半導体受託生産大手のUMCの日本法人とともに進めるパワー半導体の出荷も開始。万全な態勢で電動化時代を乗り越える構えだ。

アイシンが開発を進める第3世代イーアクスル
アイシンが開発を進める第3世代イーアクスル

■アイシン

アイシンは9月14日、25年度を最終年度とする中期経営計画を発表した。電動化が本格化するであろう30年を見据え、成長戦略の推進とリソーセスを捻出するための構造改革を推進する期間と位置付けている。同時に中長期の事業戦略も公表。30年に向けて電動化対応製品を拡充していく。

成長に向けてはEV向け商材を中心に、事業拡大を目指す。EVの心臓部となるイーアクスルでは、市場の動向を見据え、必要な時期に必要な商品を投入すべく、EVの普及に先行して開発を進めている。

すでに市場投入している第1世代に加え、小型、高効率、高出力、商用車向け、とラインアップを拡充した第2世代、第1世代に比べ、体積を2分1に小型化した第3世代も開発している。第3世代をベースに、熱マネジメントや電力変換などの機能も統合した「Xin1」を、27年をめどに開発を進めていることを明かした。

電池骨格とギガキャスト部品を一体化した車台を開発する
電池骨格とギガキャスト部品を一体化した車台を開発する

また車載電池を衝突から保護する部材「電池骨格」の開発を進め、25年度の投入を目指す。アルミ鋳造で巨大な車体部品を一体成型する生産技術「ギガキャスト」にも参入し、電池骨格とギガキャストで造った部品を一体化した車台については、27年度の投入を目指す。

「EV向け商材を中心とした事業拡大により、持続的な成長を図る」。9月14日に開催した中長期事業戦略説明会で、アイシンの吉田守孝社長はこう力を込めた。

電動化に向けた投資余力創出に向けても、取り組みを進める。今後3年間で事業譲渡や、既存事業資産の圧縮を進める。22年度に19銘柄保有していた、デンソーや豊田自動織機などの政策保有株式についても25年度にゼロにする方針も示した。

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