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中部圏特集第2集/21~32面/インタビュー/東海4県の7~9月期、全産業景況感5.9ポイント改善/中部経済は緩やかに持ち直し/東海財務局長 渡邊 輝(わたなべ・あきら)氏に聞く/企業支援の機運盛り上げ/連携する取り組みに期待

東海財務局が9月に発表した東海4県(愛知、岐阜、三重、静岡)の7~9月期の法人企業景気予測調査は、全産業の景況判断指数(BSI)が前回(4~6月期)から5・9ポイント改善のマイナス0・6だった。自動車の生産台数回復や新型コロナウイルス感染症の5類移行で人流が回復したことなどが寄与した。10~12月期の全産業は自動車生産のさらなる回復や、中国からのインバウンド(訪日客)拡大への期待値が高く、プラス4・1を見込む。物価高や資源高が企業収益の下押し要因となる中、中部経済はどう動いていくのか。東海財務局長の渡邊輝氏に見通しを聞いた。

「さまざまな企業の成功事例を提供していきたい」と話す渡邊局長
「さまざまな企業の成功事例を提供していきたい」と話す渡邊局長

―足元の景況感は。

「名古屋を中心とした観点では半導体などの供給制約が緩和され、自動車生産が回復している。消費、小売りなどの流通関係はコロナの5類移行で人流も回復している。物価が上がり、消費者の倹約志向が以前より強まっている、と流通業の関係者から状況聞いているが、今の段階では景気の腰が折れる状況までには至っていないと認識している。雇用も引き続き改善しているため、トータルとしては、今の経済状況は緩やかに持ち直しているという認識だ」

「先行きに関しては、不安定要因が多く、楽観視はしていない。まず、資源高がいつまで続くかだろう。為替や中国の経済動向も気になる。状況によっては、中国の輸出ウエートが高い企業は先行きを心配するところも多いと思う。中国経済が世界経済に与える影響は、大変気になるところだ。中国からのインバウンド(訪日客)の影響については、団体旅行が解禁されたが、足元の状況がどうなっているのかを情報収集している」

―地域金融機関の取り組みはどうみる。

「さまざまなリスク要因はあるが、足元でやや企業の倒産件数が増えている傾向がある。そこへの対応や、(ポートフォリオの入れ替えなど)資産運用でのリスクマネジメントがきちんとできているかなど、(東海財務局と)対話しながら、地域金融機関の皆さんも意識して取り組んでいる。取引先に対しての資金繰り支援、本業支援の面では、コロナ禍前からしっかり対応してもらっていることが基本認識だ。(財務省も)関係省庁とも協力しながら、企業を支援していく機運を盛り上げてきた。本業支援では、名古屋税理士会員や地域金融機関との連携を促している。事業者を支援する輪が広がり、連携する取り組みが進んでいくことを期待したい。そうした関係の橋渡しができればと思う」

―東海財務局と中部経済産業局は、自動車メーカーやサプライヤーとの情報共有の場として「自動車産業と金融機関によるカーボンニュートラルサポート連絡会」を立ち上げ、協議を進めている。

「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)は必ず取り組まなければならない課題だ。脱炭素の対策は、自社で手法が分からない企業もいる。自動車産業は裾野が広く、日々の業務で脱炭素対策に手がまわらない企業もいることだろう。金融機関などを頼りに、情報交換をすることでノウハウを蓄積してほしい」

―東海財務局として、今後事業者向けに力を入れていくことは。

「さまざまな企業の成功事例を提供していきたい。例えば、金融機関の伴走支援。金融機関が具体的にどこまで伴走して支援したのか、などについての成功事例を知ることで、企業の経営者の中には自分もできるかもしれない、と気付きがあるかもしれない。事業者が関心を持つ情報を提供していければと思う」

―中部経済が成長していくための課題は。

「全国どの地域もそうだが、やはり人手不足問題だろう。構造的な課題とされているが、将来を見据えて省力化が可能なところは取り組むべきだ。それが現実的な対応だろう。事業承継の問題もある。事業者の皆さんは問題意識を持って取り組んでいる。あとは人材マッチングをうまく支援していけるかだ」

「長期的には、技術の活用、新分野への応用など、研究開発を続けていくことが成長のために必要だと思う。この地域には高い技術がある。今後も工業中心の都市であり続けると思うので、新事業を始めたり、現在保有する技術をさらに磨いたりする手法もある。地域の発展には必要になる」

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