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中部財界や行政/脱炭素化後押し/業界またいだ連絡会発足

温室効果ガスの排出量実質ゼロを目指す脱炭素化の取り組みが急務になっている。中部圏では、企業規模を問わず、さまざまな取り組みを進めている。中部財界や行政も企業の脱炭素化などを後押しする施策を行っている。

脱炭素の最新技術など紹介する展示会も名商で開いた
脱炭素の最新技術など紹介する展示会も名商で開いた

■GXへの対応強化

名古屋商工会議所は、グリーントランスフォーメーション(GX)への対応を強化している。

1月には名古屋市中区の名商ビルで、中小企業の脱炭素化に向けた最新ソリューションを展示するビジネスイベント「カーボンニュートラル・アクション・フェア」を初開催した。中小企業の前向きな環境活動を支援する狙いだ。

23社・団体が出展し、自社ツールやサービスを紹介した。

ブースに出展した東邦ガス(本社名古屋市)は製造業向けカーボンニュートラル(CN、温室効果ガスの排出量実質ゼロ)推進コンサルティングサービス「CN×P(シーエヌピー)」を紹介した。担当者は「昨年始動したばかりのサービスで、今回のイベントを機に認知度を高めたい。また、企業の皆さんと直接対話できる機会を生かし、サービスの有用性をアピールしたい」と話した。

名商の担当者は「今回のイベントでCN実現に向けたさまざまな切り口の商材が集結した。来場企業に合った商材を見つける機会として活用いただきたい。開催を通し、来場企業のCN実現を後押しできれば」と語っていた。

名商は在日フランス商工会議所と脱炭素をテーマにしたイベントを初めて開催した
名商は在日フランス商工会議所と脱炭素をテーマにしたイベントを初めて開催した

■航空機関連も

名商は3月にも、脱炭素関連のイベントを企画。在日フランス商工会議所と共催で、「カーボンニュートラル時代のエアモビリティ」をテーマにビジネスイベントを初めて開催した。日本とフランスの航空機関連企業5社がプレゼンした後、フランスの6社がブースを構え、参加者と交流した。航空機以外にも自動車、機械加工、通信など多様な業種から200人が参加した。

冒頭に在日フランス商工会議所のニコラ・ボナルデル事務局長らがあいさつし、仏ThalesGroup(タレス・グループ)や川崎重工業などが、開発計画やCNに向けて求められる要素などについて説明した。

名商の産業振興部の担当者は「定員80人だったが、想定以上の参加があった。関心の高さがうかがえる。ヨーロッパの最新技術に触れ、協業の可能性を探ってほしい」と話した。

■自動車産業を支援

東海地域の基幹産業である自動車産業の維持・発展には、地域経済・雇用を支える中堅、中小の自動車産業のサプライヤーが新たなビジネスモデルを確立するための支援体制が重要になる。東海財務局と中部経済産業局は22年6月、自動車サプライヤー企業のCNや電動化対応などの支援を連携して取り組む方針を表明した。中堅、中小企業を対象とし、東海財務局が金融面などで、中部経済産業局が技術や販路といった産業面で支援する体制を整えている。

東海財務局は、自動車メーカーやサプライヤーとの情報共有の場として「自動車産業と金融機関によるカーボンニュートラルサポート連絡会」を22年に発足。金融機関は、取引先であるサプライヤーの悩み事などをヒアリングし、自動車メーカーや大手部品メーカーに伝えるほか、CNや電動化対応などのスケジュール感も共有する方針だ。

連絡会には、完成車メーカーとしてトヨタ自動車、1次サプライヤーとしてアイシンとデンソーが出席。金融機関からは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行などの金融機関が参加した。

金融機関は、取引先企業の変革をサポートする金融機関と自動車産業会が一体となって取り組むためのプラットフォームが必要である、との認識がある。重層構造の自動車産業のサプライチェーン(供給網)を踏まえ、業界をまたいだ連絡会で連携を深めていく方針だ。

名古屋市が開催した燃料電池バス試行導入の記念式典
名古屋市が開催した燃料電池バス試行導入の記念式典

■燃料電池バス

名古屋市は3月28日、名古屋市公館(名古屋市中区)で燃料電池バスの運行開始記念式典を開催した。4月1日から市バスとして運行している。式典には杉野みどり副市長ら関係者が出席した。

市における燃料電池バスの導入は初めてだ。栄から鳴尾車庫まで走る「基幹1」号を中心に試行導入する。期間は6年間で運行に関する費用は1億円を超える見通し。

式典に出席した杉野副市長は「名古屋市では、脱炭素社会に向け、歩みを進めたいと考えている。今回、市民の足として、水素で走るバスを導入できたことはうれしく、脱炭素社会への一歩となったと感じる」と実感を語った。

三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、三菱UFJ銀行などグループ4社から運行費用の一部に充ててもらうため、5千万円を寄付した。三菱UFJ銀の高原一郎副頭取は「2026年開催のアジア競技大会を控え、この地域は世界から注目を集めている。今回の燃料電池バスの導入により、当地域の脱炭素社会の発展につながれば」とあいさつした。

■大学の技術紹介

三菱UFJ銀は、取引先に対し、地元大学の持つ脱炭素などに関する技術を紹介する機会を設けている。22年9月には、東海地区6大学(名古屋大学、名古屋工業大学、三重大学、岐阜大学、豊橋技術科学大学、名城大学)と連携し、共同開発企業を募集するための合同説明会をオンラインで開催した。各大学で研究する最先端技術を紹介するもので、テーマは「再生可能エネルギー」だった。

取引先の経営者や技術者ら、全国から約70社が参加した。17年から毎回異なるテーマで企画しており、22年で6回目。21年は企業から共同研究の申し入れが複数件あった。今後も企業の脱炭素化などを支援する取り組みを進める考えだ。

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