都市再開発特集
名古屋圏の拠点整備、
次のステージへ
新たなランドマーク
リニア中央新幹線および中部国際空港(セントレア)の第二滑走路計画が進む中、名古屋圏では都市再開発が加速しており、経済構造やビジネス拠点としての都市の輪郭が大きく変わろうとしている。
栄エリアの再開発で最も象徴的なのは現在建設中の「ザ・ランドマーク名古屋栄」。地下4階・地上41階建て、高さ約211㍍と、同エリアにおいては最高層となる複合高層ビルだ。低層部にはシネマコンプレックス「TOHOシネマズ」が入居し、J・フロントリテイリンググループが手がける商業施設も整備される予定。中層階はオフィス、高層階には名古屋初進出となる外資系高級ホテル「コンラッド・ホテルズ&リゾーツ」が開業する計画で、国際水準のビジネス・観光ニーズに対応する。また、同ビルは地下鉄東山線・栄駅と改札階で直結する構造となっており、駅直結型の高い利便性も特徴。ビジネス・商業・文化が交錯する新たなランドマークとして、2026年夏頃の開業を予定しており、都心部の新たな拠点として大きな期待が寄せられている。
名駅エリアでは、名古屋鉄道を主体とする「名鉄名古屋駅地区再開発計画」がいよいよ本格始動した。名鉄百貨店本館を起点に、笹島交差点を挟み、南北約500㍍にわたる広大な区域が対象となる。当初は2022年度の着工を見込んでいたが、新型コロナウイルス感染症の影響などにより、計画全体の見直しを余儀なくされていた。新たな計画では、名鉄名古屋駅の鉄道拡張による4線化や、周辺地権者との共同開発が盛り込まれており、名鉄グループの将来ビジョンを体現する都市戦略プロジェクトとなっている。
さらに都心部では「アスナル金山」の再整備や「星が丘ボウル」跡地の複合再開発など、面的な再構築が広がりを見せている。こうした動きは単発的な再開発にとどまらず、交通拠点・商業施設・生活圏を有機的につなぐ都市設計として進められており、将来的な都市の競争力向上にも寄与するとみられる。
国際ビジネスハブへ
リニア中央新幹線が開通すれば、東京‒名古屋間は約40分で結ばれる。加えて、セントレアの第二滑走路整備は、空の玄関口としてのポテンシャルを飛躍的に高める。こうしたインフラの高度化は、名古屋圏を中心に企業誘致や投資を促進する新たな経済圏の形成につながり、産業・人材・資本の流れを根本から塗り替える可能性を秘めている。
都市再開発とインフラ整備が同時並行で進む今、名古屋圏は新しい成長局面の入り口に立っている。再構築されつつある都市の輪郭は、国内のみならず国際的なビジネスハブとしての競争力を視野に入れたものとなっており、その行方に大きな注目が集まっている。