都市再開発特集
地域とつながるIGアリーナ
都心回遊の起点へ
愛知県体育館に代わるIGアリーナが13日にグランドオープンした。大規模な音楽ライブやスポーツイベントに対応した都市型アリーナとして、年間を通じて多くの来場者が見込まれる中、単なる集客施設にとどまらず、周辺地域の魅力を広げる拠点としての役割も期待されている。
名城公園北園に立地するIGアリーナは、地下鉄名城線「名城公園」駅から徒歩すぐという交通利便性を備え、近接する名古屋城や金シャチ横丁といった観光資源と合わせて、広域からの来訪者を受け入れる環境が整っている。収容人員は最大1万7000人で、多様な用途に対応する柔軟な設計となっている。男子プロバスケットボールB1リーグに所属する「名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」の新たなホームアリーナとしても活用される。
地域活性化を実現するうえでカギとなるのが、イベント客を周辺地域に誘導する仕掛けづくりだ。イベント客を地域全体の消費や回遊につなげるには、イベント単体ではなく地域との連動が不可欠となる。このため周辺の商店街や地元事業者と連携し、アリーナの開催日に合わせたプロモーションや回遊施策の展開が模索されている。例えばイベント客が利用できるクーポンや、地元飲食店によるイベント連動の限定メニューなどが考えられる。
名古屋市も、都心部の活性化を重要施策と位置付けており、アリーナを核としたまちづくりを推進する。名城公園周辺では、歩道の拡幅や街路の美装化、景観整備が進められており、観光と商業を結ぶ回遊性の向上を図る。今後は宿泊施設や観光コンテンツとの連携によって、名古屋の滞在型観光を促進する起点となる可能性もある。
IGアリーナの開業によって、イベントに訪れる観客が周辺地域を巡り、新たな消費と交流をもたらす動きが生まれつつある。施設単体の成功にとどまらず、地域と連携して魅力を高めていくことこそが、持続可能なにぎわいの創出につながる。開業をきっかけに、都心に息づく新たな活力が着実に広がり始めている。
名古屋オフィス市場の現況と見通し
9カ月連続で低下する空室率
名駅エリアは2.4%
名古屋のオフィスマーケットは、引き続き好調です。ビルグレード改善や拡張移転等の前向きな需要が多く、主要エリアの築浅大規模優良物件を中心に、空室消化が進んでおります。今年は大規模ビルの竣工が、伏見エリアの「名古屋伏見Kフロンティア」1棟のみの状況で、空室率は今後も低下傾向になると予想されます。
名古屋市内(全規模)の空室率は、2025年6月末現在3.29%となり、9カ月連続の低下となっています。主要エリアの空室率では、名駅エリア2.4%、伏見エリア4.3%、栄エリア3.0%と、名駅エリアで半年前から約1.2%低下、伏見エリアで半年前から約1.1%低下、栄エリアで半年前から約0.5%低下しており、すべての主要エリアで空室率が低下しています。特に、名駅エリアの空室率は2%台となりました。
ビルの規模別の空室率では、大規模ビル(ワンフロアー面積200坪以上)2.3%、大型ビル(ワンフロア面積100坪以上200坪未満)3.6%、中型ビル(ワンフロア面積50坪以上100坪未満)4.6%と、半年前と比較して大規模ビルで約1.0%低下、大型ビルで約0.6%低下、中型ビルで約0.9%低下と、ビルの規模によって空室率の動きに差が出ておりますが、こちらでもすべての規模で空室率が低下しております。
名駅エリアで、2034年度開業予定の「名古屋駅地区再開発計画(北街区・南街区)」が発表され、ますます名古屋市のオフィスエリアでテナントの活発な動きが期待されております。